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米国連邦商標登録出願時における商品又は役務(サービス)の記載について
クライアントが作成した指定商品・指定役務の記載の多くは,米国商標法上認められない場合や他の理由から最適でないことが多い.特に外国から米国出願を依頼される際には,目を疑うような長い指定商品・指定役務リスト,もしくは範囲の広すぎるリストが送られてくる.仮に商品・役務の記載が米国商標法に適っているとしても,その書き方によっては審査手続の費用が必要以上にかかったり,場合によっては商標登録後に登録の抹消に至ることさえありうる.
多くの国で採用されている45に分類された商品・役務の国際分類について,米国は単にその分類を認めているにとどまり,分類に列挙された記載を指定商品・指定役務として記載した場合にはその記載を認めてはいない.
米国で商標登録を得るためには,分類の(広範かつ一般的な)表題をそのまま記載するのではなく,その分類の範囲内で指定商品・指定役務を具体的に記載する必要がある
しかし,出願人が海外の大企業(特に日本企業)には,その企業が米国で販売する製品すべてを指定商品として記載してくることが殆どである.指定商品リストは時に10ページ以上にも上り,分類数はといえば多くの場合2-3分類程度.1分類に1ページを超える指定商品リストという計算だ.当然,そのような「完璧で詳細な」リストには,主要製品そのものだけでなく製品の付随物(周辺機器や外付け製品等)も含まれている可能性が高い.そのような付随物は,得てして登録したい商品とは異なる分類の範囲内である上,多くは登録出願商標でどうしてもカバーしなければならないわけでもない.
それでもと言うならば,以下の点を覚悟せねばならない.(1)主要製品以外について適切な分類に分けて出願するし,分類を追加するには当然費用がかかる.(2)出願後,審査官が指定商品の記載が不明瞭だとし,インタビューや指定商品の修正が必要な場合は弁護士費用がかさむ.(3)出願後,審査官が指定分類が適切でないとし,インタビューや指定商品の修正が必要な場合は弁護士費用がかさむ.
加えて,長い指定商品・役務リストで登録となった商標は,登録更新に必要な書類や宣誓書を提出する際に登録が抹消されるリスクが高い.長い商標登録期間中には,登録商標が登録指定商品・役務のみに又は全てに使用され続けるわけではないだろう.しかし,米国では登録後の指定商品・指定役務を修正することが許されておらず修正するには新規出願をするしか方法はない.さらに登録商標が登録指定商品・役務中のいずれかに使用されなくなった場合,使用宣誓書提出時(登録5年後から6年後の間)と登録更新時(10年ごと)に使用されなくなった登録指定商品・役務を登録から削除することが法律上義務付けられている.この義務を怠ると登録が抹消されることがある.
近年の米国商標登録維持と登録指定商品・役務に関する判例を見ると,特許商標庁が登録商標の指定商品・役務への使用にさらに厳格になっていることが明らかだ.実務家の度肝を抜いたのは2003年に出たMedinol Ltd. v. Neuro Vasx, 67 USPQ2d 1205 (TTAB 2003)の判決だ.同判決でU.S. Trademark Trial & Appeal Board (“TTAB”) は,登録人が登録された指定商品すべてに登録商標を使用し続けていると宣誓したが,実際は指定商品の一部にしか使用していなかったとして,商標登録を抹消した.今年TTAB は,Medinol 判決の一部を修正(複数の分類に渡る登録の場合,登録全体を抹消するのではなく,宣誓に虚偽があった分類だけについて登録を抹消する)する判決を出した.G&W Laboratories, Inc. v. GW Pharma Limited, 89 USPQ2d 1571 (TTAB 2009).
このように,使用宣誓や登録更新をする際にには,登録された商標が登録書に記載された全ての指定商品・役務に対して使用されていることの確認又は使用の停止された商品・役務を削除を徹底することが非常に重要である.登録書に記載された指定商品・役務が膨大な数になればなるほど,商標登録維持にかかる作業は責任重大となり,費用はかさみ,登録抹消のリスクは高くなる.したがって出願時から主要製品・サービスに絞り込んで指定商品・役務を記載するのが得策だと考える.